2015年5月17日
確かにバトンは受け取った
予定より一日早く、バイクの後ろにカバン2つと玄米だけを乗せた彼は、2年ちょっと住んでいた町を離れて今日岡山へとやってきた。確かに今日の岡山はツーリングにはもってこいの快晴で、明日以降の天気予報は雨だった。
夕方、一緒に夕食を食べようとスーパーまで歩いている途中。「自分はやっぱりジプシーで居たいのだ」と前置きした上で、「前の場所に住んで本当によかった」と言った。あまりにも突然で、そして素直な語り口に僕は驚いた。いつも飄々としている彼は、だからこそ周りがその真意を測りかねたり、誤解されることも少なくないようだった。けれど、少なくともその時の言葉は、僕には本当だと感じられた。
「住んで本当によかった」、その言葉を前の場所の人たちにきちんと置いてきたのかは正直よく分からない。だからせめて、然るべき人には届けばいいなと思ってここに書いている。
僕は人に甘いとよく言われる。確かに自分でもそうなのかなと思う時もある。
でもこの稼業は、何度でも人を信じるとこから始めないと、やってられないんだ。
(野口)