2017年2月アーカイブ

2017年2月28日

仮面夫婦プロジェクトと僕

仮面夫婦プロジェクトと僕

仮面夫婦プロジェクト、という活動をされている方がいる。その方というのは漣(さざなみ)さんといって、実際にご夫婦である。何度もお会いしたことがあるが、名前と違ってとても仲の良いお二人だ。数年前まで岡山に住んでおられ、とりいくぐるにも遊び来られたこともある。NAWATEの周年のイベントでは、奥さんは記録写真を撮っていただいたこともある。そんな縁もあって、とりいくぐるで行われた各種イベントなどにも来ていただいたし、泊まってくださったこともある。そして現在は、お二人で奥さんの実家がある鹿児島へ移住された。昨年秋、僕が鹿児島へ行ったのは、お二人にイベントのお誘いをいただいたからなのだ。

なぜとりいくぐるのブログにて、急に仮面夫婦プロジェクトのことを話し始めたかというと、今度の日曜、とりいくぐるから東へ80歩の「ラウンジカド」にて仮面夫婦プロジェクトによるワークショップが開催されるから、なのです。ですのでこれは、長い宣伝文。墨による御託は必要ない、手っ取り早くイベントの詳細をお知りになりたいという方は文末まで読み飛ばしてください。

昨年夏ごろだったか、鹿児島でのイベント出演のオファーを、漣さんの旦那さんの方からいただいた。鹿児島県に二つある半島のうち、西側の薩摩半島の方、その南端にある南九州市。お二人はそこに住んでいらっしゃった。種子島や屋久島を望む太平洋のすぐそば。開聞岳のふもと。そんな南九州市内の頴娃地区でイベントは開催された。頴娃地区の町おこしNPOの福澤さんを紹介していただき、とりいくぐるやカドのお話をした。当初オファーを貰ったときには、鹿児島鹿児島...と逡巡し、その遠さ(蓋を開けてみればイメージしていたほどの遠さは感じられなかった)などから参加に消極的だった。それでも夏の殺人的な忙しさから少しずつ僕の思考は麻痺し、冷静な判断はストップしていく。そして最終的には暑さからやってくる開放感とともに、OKの返事をしたのだった。と、ここまで書いておいて、嘘を書いてはいけないと昨年夏の漣さんとのやり取りを見返してみると、僕は第一声から「うおー!ご無沙汰してます!鹿児島行きたいです!」とあり、かなり前のめりだったことが伺える。記憶とは違い、随分前向きだった。
イベントに前後して、お二人と福澤さんに南九州市ツアーをしていただいたのだが、それがとても楽しかった。貧困なボキャブラリーで恥ずかしいが、楽しかったという言葉以外ない。11月とは思えない鹿児島の暖かさ、岡山との植生の違いの興味深さはもとより、ハーブ園、雄大な太平洋の眺め、美味しい料理、茶畑の風景、そして挙句僕の寝食のお世話まで、気が利いていてとても楽しませていただいたのだ。

ついつい鹿児島のことばかりになってしまうので軌道修正。仮面について。実物を、鹿児島のご自宅で見せていただいた。思いのほかしっかりした作り。そしてお二人が旅行先で仮面を装着し撮影した写真の数々も拝見した。普通の記念写真にはない、ちょっとした違和感が写真を面白かった。仮面を被って写真を撮る、というのは不思議だ。表情が無いので、人物と世界だけの空間。あまり写真には詳しくないので言及は控えるけども、きっと違和感の正体は、仮面が人物の表情を隠してしまっているからなのだと思う。小さいころに行った大阪の民族学博物館、鹿児島へ向かう前日に立ち寄った福岡の九州国立博物館でも仮面がたくさんあった。ちょっと違うかもしれないが、先日も商店街のイベントで僕はサムライのヅラを被った。仮装すること。シャーマニズムとか民俗学にもあまり詳しくないが、人間はみんな昔から仮面が大好きなのだと思う。だからあなたもきっと仮面のことが好きなはずだ。
最後に、仮面夫婦プロジェクトとは何かに対して、仮面夫婦プロジェクトFBページ内の説明文を引用することで回答する。

【日時】
3月12日(日)14:00〜19:00
【会場】
岡山・奉還町4丁目 ラウンジ・カド
〒700-0026 岡山県岡山市北区奉還町4丁目7−22
【料金】
1,000円+1ドリンクオーダー
※仮面は数量限定のため、なくなり次第終了となります。予めご了承くださいませ。

Facebookイベントページ

仮面夫婦プロジェクト


ー仮面へのいざないー
『仮面を身に着けると、どの様な気持ちになりますか。
わくわくした気持ちや、もう一人の自分になった気持ち、何かを超えられるのではないかといった憧れなど、感性は様々です。
古くから仮面は、日本だけではなく世界中の祭りや祈り、儀式などに用いられ、人々は「動物・自然・精霊・神・人」などをモチーフに、木彫や張子、瓢箪や土で仮面を作るのでした。
私達が仮面を着けた時に持つ気持ちは、もしかすると古代のそういった歴史を、魂が感じているのかもしれません。』

前置きが長くなりました。
仮面夫婦プロジェクトは、結婚式で仮面を着けてみたことから始まりました。
「まるで仮面夫婦だ!」
その後、気に入ったロケーションで仮面を着け写真に残すことを続けるうちに、楽しくなってきたので、プロジェクト発足しました。

仮面夫婦という日本語のマイナスな意味合いを払拭すべく、仮面って着けてみたら楽しいよねっ!という素直な気持ちを日本はもちろん世界へ発信するプロジェクトです。

たまに開催する仮面作りワークショップでは、実際に仮面に色を塗りオリジナルの仮面を作り着けてもらいます。自分だけの仮面を作る楽しさ、仮面を着ける楽しさを、子供から大人まで誰でも体験できる仮面作りワークショップです。

2017年2月11日

2月11日(土)

2月11日(土)


先日、ある宿泊予約サイトからお知らせメールが届いていた。もうすぐあなたが保持しているポイントが失効しますよ、せっかく貯めたのに。この際、どこかホテルを予約して旅に出ませんか?冬の旅というのも良いでしょう?てかお前いま閑散期だろ、旅行しろよ!
要約すると以上のような内容だった。だが持っていたポイントはわずか10ポイントほどのために旅へ行こう、とはならなかった。というかゲストハウスを開業してからというもの、こういう予約サイトは利用しなくなっていた。

とりいくぐるを開業した当初、宿泊予約サイトを導入するかどうかで、一緒に立ち上がた野口さんと言い合いになったことがあった。僕は反対した。理由は、他の宿泊施設と、単に値段や立地だけで選択されることがどうしても我慢ならなかったからだ。安い簡素な宿、と思われてしまうんじゃないかという懸念があった。
野口さんは、僕の意見もよく理解できるが、そう綺麗事も言っていられない(売上が上がらない)状況を打破するには宿泊予約サイト導入するべきだと言った。お互いの考えが分かるだけに、僕らはとても悩んだ。
結果、僕は折れた。のっぴきならない財政は、導入したことで大幅に改善された。懸念していた客層も、心配していたことはなく、むしろ外国の方や様々な年齢の方が増え、多様性がとりいくぐるにもたらされた。

宿泊予約サイト導入のメリットの一つに、レビュー機能がある。あそこは良かった、10点満点!またはクソだ、0点だ!ということだけでなく、この部分は素晴らしいが、ここは値段に合っていない。戸がうるさい、清潔できれい、親切でないなどなど。事細かに指摘してくれる方も大勢いる。お客さんはそれを判断基準に含められるし、施設側もお客さんの不平不満を知ることができる。とてもありがたい機能だ。
現在二人いるスタッフは、とても明るく朗らかにそして能動的に働いてくれていて、僕はとても嬉しいのだが、ミーティングの際に予約サイトでのレビューを印刷して見せてみた。二人がとりいくぐるを気にってくれて働いてくれていることは分かるだけに、嫌な空気になったらどうしよう、と心配していた。むしろ前向きにとらえてくれたらと思いながら。彼女らは多少ショックを受けつつも、全てにしっかり目を通しそれに対する改善案をちゃんと考えてくれた。そして最後には不満点を一つずつ減らそう、という前向きな空気になりった。僕の心配は杞憂に終わり、ほっと胸をなでおろした。
ある意味で他からの評価を気にせず、自分のこだわりを大事に事業をやることも素敵なことだが、もう少し客観的にというか、自分の価値観をこんにゃくのように柔らかくする意味でも、こういうレビューもとても参考になる。

僕が宿泊予約サイトの導入に際し心配していたこと。値段や立地の良し悪しだけで判断されたくない、というのは自信の無さの裏返しだったんだろうとあの頃を振り返ってみて思う。小さなころから、基本的に自信は無い人間、良く言えば謙虚が持ち味だった僕は、「とりいくぐる」という自分の場所にも自信が無かった。いや、今も自信が無い。それでもなんとか3年半やってこれてるのは、すごいなと思いながらも怖いという思いもある。もちろん、それには野口さんの力が大きかった。彼には最大限のリスペクトを持っている。
わけあって昨年末で野口さんが卒業し、今年から僕が主体的に動くことになった今、そんなことをずっと考えている。

2017年2月 1日

2月1日(水)

今年は映画を沢山見るぞー!と思いながら1月末時点で見たのはわずか1本だけで、早くも目標には届きそうもない気配だったが、まあそれでもマイペースにやっていくのが良いだろうと思っていてさほど深刻な気持ちはない。ちなみに鑑賞したのは『湯を沸かすほどの熱い愛』だった。とても良い映画で、色々と自分の境遇と重なるところがあったりして鑑賞後に思うことが沢山あった。なんでもそうだが、感想があれこれ出るような作品というのはきっと良いのだろうと思う。主演の宮沢りえも素晴らしかったし、子役たちの演技も素晴らしかった。閑話休題。マイペースやっていくということ。そう、マイペースが重要なのだ。映画も見たい作品があるとき、時間がある時、気が向いた時。無理に見るというものではない。

ついこの間、ある同業者の方が訪ねてこられ、お互いの現状のことをお喋りさせていただいた。閑散期になると、同業者が他のゲストハウスをまわることが多い。その宿へはまだ伺って挨拶できていないので恐縮しつつも、終始楽しくお話していた。その宿があるのは有数のゲストハウス激戦区で、最近も少し増えているそう。競争はどんどん激化している様子が伺えた。

ご存知のとおり、ゲストハウスは日本全国津々浦々に年々誕生している。インバウンドという言葉もすっかり普及したくらいに海外からの旅行者が増えていて、そのことがまた昨今のゲストハウスブームの背中を押している。僕らがとりいくぐるをオープンさせた時(約3年半前)も、同じようにブームだなんだと言われていて、そしてそのピークはもう過ぎただとか後は尻すぼみだなんて言われていたと記憶している。自分でもそうなのかな、今後は厳しいのかななんて思ったこともあった。でもまあこういうのは、数年後に振り返ってみてあの時がピークだったんだねとか分析されて初めて分かるものなので、その時点で渦中におり正確に動向を掴み切るのはとても難しいことだ。おそらく、時流を読んだり流行を掴むことが出来る人のことを、商売の才能があると言うんだろうが。

そんなことを考えていると、また岡山市内に新しいホテルが開業するというニュースを耳にする。カプセルホテルなどの低価格帯の部屋も揃えた200室ほどの宿泊施設で来年オープンするのだとか。そのニュースの中で、こんな記述があった。

"地元業界からは「今でも供給過剰。JR岡山駅に近く、新しいホテルほど集客力は高く、既存業者は一層厳しい時代になる」との声が漏れる。実際に市中心部ではここ数年、老朽化や経営難で廃業したホテルが複数あり..."

参考:岡山・ドレミの街にホテル開設 アベスト社 18年春以降オープン

要は古く小さなものは淘汰され新しいものに生まれ変わり続けているという、まあ経済活動ってそういうものかもなとも思うような話。僕らがオープンさせた時は、岡山市内にゲストハウスと呼ばれるものは無く、我がとりいくぐるが第一号だったわけだけど、そういう意味でとりいくぐるは先輩。業界を見てみても後輩がたくさん増えた。今後、岡山市内に新しくゲストハウスが出来てくれば出来てくるほど、僕らはどんどんその他の有象無象に埋もれていき、ニュースバリューのある新規の方へお客もメディアも流れていくかもしれない。まあそれに手をこまねいてみすみす崩壊を待つつもりなんて毛頭ないのだけど、ここは先行者らしく、逆手に取ってどんどんマイペースに面白くやれたらいいな。続けていくこと、というのはここ最近ずっと頭に思い描いているテーマの一つ。長続きさせるためにも、マイペースというペースを乱さないように。

ところで近所の銭湯、「つる湯」さんが営業時間を1時間短くしました。夕方5時から夜8時までです。それを知ってか知らずか、うちのスタッフがつる湯さんとうちとで、掛け持ちでバイトしようかなとか言い出しており、いいぞどんどんやれ!なんて思っている今日このごろです。