2014年7月 8日
エンジョイ・アワー・フリータイム
今からちょうど1年前、7月6日、僕らのゲストハウスはオープンした。2階のフローリングはまだ傷ひとつ無く、窓ガラスはどれもピカピカに透き通っていたし、中庭はまだ端っこまで芝生は緑色だった。かくいう僕らはというと準備に疲れてしまってヘトヘトになっていた。疲労困ぱいのまま、しかもほとんどゲストハウスだとか自営というものに対してズブの素人だった僕らが、今日までこうしてなんとか生き延びることができたのは、ひとえにみなさまのおかげで、ありがとうございましたでは言い尽くせないほどだ。
最近になってようやく、というか少し落ち着くことができて、地に足の着いて物事に対処できるようになった。
そういえば先週の土曜日、とりいくぐるのある奉還町一帯では、土曜夜市というお祭りがあった。そのお祭りは7月の毎週土曜日に催される夏祭りで、近所の小学生くらいの子たちは、みな浴衣や甚平を着て嬉しそうにうちの前を走り去って夏祭りへと向かう。商店街あげての一大イベント、本当に賑やかなお祭りで、うちからは野口さんが当番として焼き鳥を屋台で焼いた(90分で1000本も焼いたそう)。一方僕はとりいくぐるで留守番で、その日宿泊した台湾の女の子2人組から、野口さんが夜店でチキンBBQを頑張ってたよ!と教えてくれた(彼女たちは野口さんのことをstaffではなく、「your friend」と呼んでいた)。
1年前のオープン日もちょうど土曜日だったので、多分その夜と同じように小学生たちが、うちの前を笑顔で駆け抜けていたのだろう。しかしあまりそのような記憶は無く、思うに準備やオープニングイベントでそれどころではなく、知らず知らずのうちに見逃していたんだろうと思う。
この1年はあっという間で早かったようにも思うし、やっと1年が経ったかとも思う。時間の感覚は麻痺している。色んなことがあったためだろうか。宿泊のこと、カフェのこと、NAWATEのこと、イベント、商店街、ヘルパースタッフ、全てがトライアンドエラーの連続で、本当に何度も何度も野口さんと話し合いが持たれた。それは深夜までだったり、何日にも渡ってだったりもした。僕らは右も左も分からないままこの仕事が始めて、それでも少しでも前に進もうとしていたし、少しずつでも前に進んでいると信じている。ラウンジのレイアウトが度々変わったのは、そういう改善が繰り返されているといういい例だと思う。
友人のひとりは、僕のやっていることはすごいことだと言ってくれた。でも果たしてすごいことなのかは全くもって自信がない。毎日やっていることといえばとても地味だし、とても小さいことばかりだ。それでも少しずつ溜まってきた宿泊者名簿なんかを見るたび感慨深くなる。全く見ず知らずのお客さんが遠方から来てくれ、泊まり、中には話をし、そしてまた泊まり来てくれたり、いやそれだけじゃない、コーヒーやビールを飲みにふらっと寄ってくれる近所の人たち、名簿には載っていないそんな人たちもいる。色んな人がこの1年で来てくれたということは、とてもすごいことなんだろう。
冬が過ぎ、春を経て夏を迎え、中庭の芝生には緑色が戻ってきた。一部で芝生が禿げ上がり、残った芝生もどんどん茶色く変色した時にはもうこいつらダメなんじゃないかと思っていたが、それもこれも杞憂だった。露出した土にもまた再び芝生が侵食を始め、ご神木と呼んでいるマキノキのふもとや、エアコンの室外機の脇に植わった植物(名前は失念)も、その生命力を旺盛に天高く成長を続けている。
最近では日記読んでるよー、と言われるようになってきた。更新をサボらないようにしないと。真面目か!と言われたりもするこの日記でも、読んでくれている人がいてくれるのであれば続けたい。来年も再来年も、7月6日にまつわる記事を書くことが出来るように、日記もそうだけど、本業であるとりいくぐるを頑張っていきます。とりあえずは今月末、7月26日と27日、一周年イベントを開催しますので、ぜひ遊びに来てください。