2014年4月アーカイブ
2014年4月22日
松井青物店という存在
非常に説明しにくいのだけど、わがゲストハウスは複合施設の中に入居している。その複合施設はNAWATE(なわて)と呼ばれ、もともとお肉屋さんだった建物である。そこの1Fの一部と2Fにとりいくぐるは入居している。イオンやパルコといったものを想像してもらいたい。そういった商業施設はNAWATEに当たり、その中に入っているユニクロや無印良品が、とりいくぐるに当たる。この説明で過不足ないと思う。
そんなNAWATEに昔から入居しているのが、この奉還町4丁目の顔役とも言える松井青物店さんだ。聞いてみるともう40年もここで営業されている。大ベテラン八百屋だ。僕らは松井青物店を営んでいるご夫婦のことを、親しみを込めて、松井さんと呼んでいる。
朝7時過ぎ、ドミトリーで寝ていると階下からドーン!というとてつもなく音が聞こえる。自身ではない、松井さんの、シャッターを開ける音だ。そして、松井さんの大きな声の「おはよーございまーす!」が聞こえれば、奉還町に朝がやってきた合図となり、やがて通りには人が溢れだす。
よく観察していると、松井さんは来店してきたお客さんに、まず今夜のメニューを聞く。そして必要なもの野菜を見繕う。なんとお客さんの家族構成なども織り込み済みであることも、多々ある。さらに見繕った野菜からスピンオフおかずをも提案する。野菜を一つのツールにし、どんどんコミュニケーションが広がっていく。そしてこの松井さんファンと化したお客さんの一行が朝から絶えずやってくる。
また、松井さんのお店では、キュウリや茄子のぬか漬け(これが天下一品の美味さ!)、ささがきにしたごぼう、軒先で天日干しにされた干し椎茸など、自家製漬物、加工品の数々が並んでいる。プライベートブランドの先駆けだ。そしてなんと、そのごぼうのささがきなどは、店の奥で松井さんと常連さん(!)の手によって作られている。お客さんを巻き込んだプライベートブランド作り。恐るべしである。
僕らは何度も松井さんに助けられた。売れ残りだからとぬか漬けを頂いたり、ちょっとオマケしてくれたり、豆餅やみかんなどの美味しいおやつをもらったり。
でも何より大きな助けになっているのは、松井さんらがスポークスマンとなってNAWATEとは何か、とりいくぐるとは何かを近所の方々に周知してくださっている点だ。松井さんがある種の接着剤となって、僕らはこの奉還町に溶け込むことができている。これは相当大きい。
ということで僕はこんな文章を書いて松井さんの宣伝になればいいなと思っている。
みなさん。NAWATEへ、そして岡山へ来た際は松井青物店もよろしくお願いします。ぬか漬けは本当に美味ですし、食べる時期を言えばグッドな塩加減のものを選んでくれますよ。
2014年4月20日
「フルサトをつくる」刊行記念トークショー@岡山
日時: 2014年5月19日 月曜日
場所: とりいくぐる(岡山県岡山市北区奉還町4丁目7−15 NAWATE内)
開場: 19:00
開演: 19:30 - 22:00
予約 2,000円/当日2,500円 (+1 Drink Order) ※軽食代込
「都会か田舎か」「定住か移住か」という二者択一を超えて、世界遺産・熊野古道のほとりに、仲間達ともうひとつの本拠地"フルサト"をつくった伊藤洋志さんとphaさん。4月末にこの多拠点居住生活をまとめた書籍が刊行されるのを記念して、フルサトづくりの実践レポートをトークショー形式でお話頂きます。トークショーの後に、軽食付きの懇談会も設けますので、是非おなかを空かせておいで下さいませ。
伊藤洋志: 1979年香川県生まれ。
文筆家・ナリワイ実践家・遊撃農家。零細ベンチャーの立ち上げメンバー、農業ウェブマガジンの編集長を経て、「あたまと体をつかう、生活と仕事が一体化したナリワイづくり」をテーマに個人サイズの仕事作りに取り組む。著書に『ナリワイをつくる』(東京書籍2012)、『フルサトをつくる』(pha氏と共著、東京書籍2014)。
他、予定に『ナリワイと服(仮)』(サウダージ・ブックス)。
pha: 1978年大阪府生まれ。無職。
京都大学総合人間学部に入学するも、ダメ人間的生活に目覚め6年をかけて卒業。
社内ニート的なサラリーマンを3年続けたが、Twitterとプログラミングに出会ったのをきっかけに、退社。以降定職に就かずに本格的にニート道を追求する。
パソコンやネットが好きな人が集まって暮らすシェアハウス『ギークハウス』の発起人でもある。著書に『ニートの歩き方』(技術評論社2012)『フルサトをつくる』(伊藤氏と共著、東京書籍2014)。
ご予約はイワサキケイコキカクのメール、Facebook、TwitterのDMにてお受け致します。
企画・問い合わせ イワサキケイコキカク iwasakikeikokikaku [ at ] gmail.com
2014年4月12日
公認非公式英語ブログ『TORII-GOOGLE, OKAYAMA』
この度、とりいくぐるのご近所さんである松田さんによる、とりいくぐる英語版ブログ『TORII-GOOGLE, OKAYAMA』がスタートしました。
「とりいくぐるを海外に紹介できるよう英語のブログをはじめたい」と自ら申し出てくださった松田さんは、とりいくぐる一の常連さん。オープン時よりあらゆるバックアップをして下さっています。
スタッフ以外で最もとりいくぐるの様子を知っていると言っても過言ではない、松田さんによる「公認非公式」英語ブログ。松田さんの視点で綴られるとりいくぐるの日々をぜひチェックしてみて下さい。また、岡山へお越しの海外のご友人などにもぜひご紹介ください。
(野口)
2014年4月11日
ゲストハウスそれぞれ
奉還町にも春がやってきた。奥まった路地の先にある、小さな公園に植わった桜の木々もきれいなピンク色に染まり、真新しい制服に身を包んだ学生らの列が商店街を抜けていく。青春18切符のシーズンがやってきた3月半ばごろから、我がゲストハウスにも少しずつお客さんが増えてきた。それは卒業旅行であったり、新生活の準備であったり、有給消化であったり。1、2月の静かな日々から打って変わって賑やかになった日々は、まるで春の芽吹きのようであった。奉還町にも春がやってきたのだ。
昔の人曰く、春とは、出会いと別れの季節であるという。
その緩やかな余波はうちの方にもやってきていて、入学だとか就職だとか、何かしら人生の岐路に立つ人たちが大勢泊まりにきてくれた。それぞれに色々な事情を抱えて、それぞれに色々な動機を持って岡山に来た人たちだった。そんな人たちに会うたび、そして別れるたび、ああ春なのだなあと実感させられた。各々が背負うバックパックやキャリーバックの重さは、各々の人生の重みを想起させた。
ゲストハウスというものをやっていると、様々な人たちに出会う。本当に様々な人たちだ。夜、ビールなどを飲みながら話を聞いていると、ふとそういう人たちの重さに触れることがある。会ったばかりの人間に、それぞれの持つ過去や事情をお客さんたちが語り始める瞬間がある。
ここから少し込み入った話になっていくのだけど、まあどうぞお付き合いいただきたい。
ゲストハウスでは、お客さんと触れ合う時間が長い。飲食店などのお店では、お客さんと店側のスタッフが過ごす時間は1、2時間がせいぜいだろう。だがゲストハウスはそうはいかない。基本的には一晩付きっきりである。そしてたまにお客さんに付き合ってビールなどを飲むことがあると、その人の人となりとか、大げさに言えば人生のようなものに触れてしまう瞬間がある。見ず知らずの人たちが、こうまで一緒の時間を過ごすのはとても特殊なことのように思える。過ごす時間が長くなると、パブリックスペースとプライベートスペースの境界線が曖昧になってしまうものなのか。ゲストハウスは他と比べて、客と主人の関係性が濃密な場所であるのは間違いないと思う。
ついこの間、「ゲストハウススタッフとお客さんの関係性って、従兄弟くらいが適当かもしれない」というような鋭い指摘が野口さんから飛び出した。この指摘にはハッとさせられた。たまに会う親戚同士のような、客と主人の関係性。こんな不思議な(少なくとも僕にとって)関係性がここでは生まれる。
お客さんとの関係について考え始めると、果てにはゲストハウスとは何か、というようなアイデンティティの話になってしまう。なってしまうので、これ以上はよそう。取り留めのない思考は春に似つかわしくないではないか。
今日もお客さんがやってくる。恐らく色々な理由を抱えてやってくるのだろう。春。奉還町にも春がやってきて、もう通りすぎようとしている。眼前には、春の残滓なのか、にわかに散り始めた無数の桜の花びらがただあるのみだった。
2014年4月 5日
『アジア食堂歩屋も共にゆく春の巻tour』岡山編
とりいくぐる4月のライブは原田茶飯事さんと田中基希さんの2マンライブ!そして、高知のアジア料理の名店『歩屋』さんが全公演に帯同、ライブとアジアごはんが一度に楽しめるボリューム満点のイベントとなりました(ですので17:30開場で、開演までたっぷりと時間をとっています)
決して広くない会場、食事の用意もありますので、お早めのご予約をオススメします。
<出演>
原田茶飯事
田中基希(オノマトペ)
<フード出店>
高知アジア食堂 歩屋
[日時]
2014年4月5日(土)
開場17:30 / 開演19:00
[料金]
前売2,500円 / 当日3,000円
(+要1drink order)
※アジア料理軽食付き
[会場]
ゲストハウス&ラウンジ とりいくぐる
岡山市北区奉還町4丁目7−15 NAWATE内
◎岡山駅西口より徒歩約13分。商店街のアーケードが切れた先の大きな道路を渡った向こう。奉還町郵便局向かい
[ご予約・お問い合わせ]
086-250-2629
info@toriikuguru.com
(とりいくぐる)
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原田茶飯事 PROFILE
5月2日うまれのA型。
あっちにも行けるしこっちにも行ける、全方位型シンガーソングライター。
関西で知られた7人組トロピカルポップスバンド・クリームチーズオブサンの解散後はガットギターを手に年間150本ほどの公演を続け全国を渡り歩く。
ソフトロックやMPBの洒落っ気・茶目っ気を感じさせながらも
口から半分 魂の出たようなステージングは必見。
http://haradasahanji.com/
田中基希(オノマトペ) PROFILE
1984年高知生まれ。
一人ユニット「オノマトペ」を中心に、2012年突如現れたロックバンド「かもしれない」で活動。
田中基希の世界を例えるなら、限りなく透明に近い青。そこから生まれる音楽は寄せては返す波のよう。
2013年1月、1stアルバム「たまゆら」をひっそりと発表。
5月、東京 吉祥寺 キチムにて開催された、第1回「おおはた雄一のギタージャンボリー」に参加など、ゆるりゆるりと活動中。